陶芸・陶磁器の基礎知識

陶器と磁器の違い
陶器は「粘土」を主成分とする原料から作られ、一方、磁器は「陶石(とうせき)」という石の粉末を主成分とする原料から作られる焼きものです。この原料の違いにより、見た目や吸水性、音などに違いが生まれます。

*陶芸旅行造成へのアドバイス
陶芸関連のプログラムの中では、「作陶体験」で作られるのが陶器で、「絵付け体験」で使われるのが磁器、というのが一般的です。
また、産地によっても、伝統的に陶器を作っている産地、磁器を作っている産地、両方を作っている産地、とそれぞれに特徴があります。


陶磁器のできるプロセス

作家や窯元、産地などにより多少の違いはありますが、一般的には以下のようなプロセスで作られます。
全工程を行う場合、最短でも2~3週間ほどかかります。

[陶器の場合]
土作り→成形→削り→乾燥→素焼→装飾→施釉→本焼→完成

[磁器の場合]
土作り→成形→削り→乾燥→素焼→下絵→施釉→本焼→上絵付→焼付→完成

*陶芸旅行造成へのアドバイス
陶芸関連プログラムにおける、一般的な「作陶体験」は、陶器の”成形”部分、「絵付け体験」は磁器の”上絵付”部分を体験するものです。
それ以外の行程はすべて陶芸教室が行ってくれます。
前述の通り、全工程を行う場合は最短でも2~3週間程度の日程が必要ですが、なかでも「乾燥」と「本焼」に最も日数を必要とします。「乾燥」は季節や天候によりますが、だいたい3~10日くらいじっくり乾燥させます。この期間は基本的になにもすることがないため、観光や他の産地訪問などに充てていただくとよいでしょう。「本焼」は、使う窯や焼成方法などにより大きく変わりますが、穴窯や登り窯など薪をつかって焼成する窯の場合は、焼成時間+窯の冷却時間を合わせてだいたい1週間以上を必要とします。窯の冷却中も基本的になにもできないため、こちらもやはり観光などに充てるか、焼成の途中で帰国するようなスケジュールを組み、出来上がった作品は後日配送するとよいでしょう。
ただ、陶芸を趣味としてやっている方にとって、焼きあがった作品を窯から出す「窯出し」が一番のハイライトですので、できるだけお客様自身が立ち会って「窯出し」できる旅程を組めれば喜ばれるのは間違いありません。


釉薬について

長石や灰、粘土などを原料とするもので、焼きものの表面を覆うガラスのようなもののことを言います。釉薬をかけることで、焼きものに様々な色をつけることが出来、また水漏れや汚れの付着を防止する効果もあります。釉薬は通常ドロっとした液体になっており、本焼の前に陶磁器の表面にひしゃくなどでかけて使用します。
同じ釉薬でも、陶磁器そのものの素材やかけ方、焼成方法などにより異なる発色をするため、焼きものの「面白さ」の重要なポイントになるものです。
備前や信楽などでは釉薬をかけず土の風合を生かした「焼き締め」という方法があり、海外の陶芸ファンの間でも知られるようになっています。

*陶芸旅行造成へのアドバイス
一般的な「作陶体験」の場合、作品を作り終え配送手続きをする前に、予め決められている発色サンプルの中からお客様自身が選ぶ形がほとんどです。陶芸教室によっては、追加料金を支払えば、さらに多くの色やパターンの釉薬を選ぶことができることもあります。
作品に釉薬をかける作業は、焼成前に陶芸教室が行います。


焼成・窯について

陶磁器を焼く窯には、焼成するときの燃料による違いから大きく分けて主に3つの種類があります。

1)電気窯
文字通り電気によって焼成する窯。電気なので温度コントロールが容易で、燃料の購入が不要という特徴があります。
そのため、個人レベルで趣味として陶芸を楽しむ方や、陶芸教室などで「作陶体験」で作られたうつわを焼成するときなどによく利用されています。
薪を焼成する窯と違って煙が出ないため、東京や京都など大都市に工房を構える作家にも利用されることがあります。

2)ガス窯
こちらも文字通り、ガスを燃料とする窯です。電気窯との大きな違いは、実際に炎を起こして焼成することです。
そのため、焼成中の温度管理に注意する必要があったり、排気用の煙突が必要だったりします。
ただ、大量かつ高頻度に焼成をする場合、コストが電気にくらべて安いという利点があるため、一般的な窯元や陶芸家の間でよく利用されています。

3)薪窯
薪を燃料に焼成する窯で、穴窯や登り窯といった伝統的な窯もこれに分類されます。
薪の原料となる樹木(赤松など)の値段が近年高騰していることもあり、大きな登り窯などは年に1回くらいしか火を入れないケースも多く、また大量の煙がでるため、街中からはなれた場所に作られているのがほとんどです。
薪の種類や入れ方で炎をコントロールして独特の風合いを出すこともできるため、薪窯でしか焼成しない窯元や陶芸家もいます。

その他に、灯油窯や重油窯、木炭窯などもあります。

*陶芸旅行造成へのアドバイス
焼成(本焼)のタイミングは多くの場合、「窯の容量いっぱいまで作品がたまったら」ということが多く、イベントや陶芸家の個展、商品の出荷など厳密にスケジュールが決まっているケースを除き、事前にはっきりと定まっていないことがほとんどです。
そのため、お客様からの「焼成しているところを見たい」というリクエストに対し、数ヶ月前の時点で日時をご案内することはほぼ不可能となります。従って「絶対に見たい」というご要望には、各産地の陶器市(春と秋に開催されることが多い)などに合わせて実施されるイベント焼成にあわせて旅行日程を組むのがよいでしょう。イベント焼成のスケジュールについては、弊社までお問合せ下さい。


配送について

*陶芸旅行造成へのアドバイス
弊社が手配できるほとんどの陶芸教室・窯元で海外発送を承っています。
お客様が作った作品は、数週間~数ヵ月後に陶芸教室によって焼成され、配送されます。
焼成のタイミングは、使う窯や焼成方法、他のお客様分も含めた作品の大きさ・数により代わるため、事前に正確な日時をお約束することはできません。
また、作陶・絵付け体験料金にはほとんどの場合、焼成料金が含まれておりますが、予め個数や作品サイズ、粘土の量などなんらかの上限が決められています。お客様がその上限を大きく超えてしまった場合、現地にて追加料金を請求される場合があります。

配送料金については、作品サイズや個数により変動しますので、基本的に体験当日、お客様から陶芸教室に直接お支払いいただく形となります。ただし、クレジットカードの取扱いのない陶芸教室も多いため、予め現金をご用意いただくことをおすすめします。

お客様の作った作品が焼成時に割れてしまうことも稀に発生します。
これは、自然の粘土を用い、炎で焼くという焼きものの性質上、どうしても避けられないもので、その場合は、陶芸教室から同じようなサイズ・色のうつわを代替品としてお送りするなどして対応しています。